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伊豆の冬の風物
 ご多分に漏れず伊豆も暖かい冬です。それでも2~3日前から木枯らしが吹き始めました。冷たい北西の風です。伊豆ではこの風を「ならい」とか「にし」と呼ぶ地方もあります。この冬の風と同時に、夜中に「カン、カン、カン」という鐘の音が聞こえるようになりました。おそらく伊豆のどこでも、この時期夜になると聞こえてくるのでしょう。消防団が鳴らす警鐘なんです。サイレンではなく鐘を鳴らしながら住宅地域を巡回します。伊東の場合、今期は12月26日から2月25日まで。毎日夜中に、消防団員が担当地域内を消防車でぐるぐる回ります。家事が起こりやすい季節に住民を守るための行事です。

 以前、南伊豆町子浦に住んでいた頃の経験では、各戸から1人づつ出て夜警団を作り徹夜で巡回していました。消防団というものがなかったのでしょう。半島最南端の小さな集落です。若い人はほとんどいませんから夜警団の構成は中高年ばかり。おじさん、おじいさんが仮眠をとりながら交代で全集落を拍子木を打ちながら歩いて回ります。車が入れないというよりは、人の目と鼻とが事故を小さなうちに発見できると言っていました。経験がものを言ってました。とても大変な任務です。海辺の傾斜地に肩を寄せ合うように家が建ち並び、車が入れない路地がほとんどなので、どこかで出火すれば集落全体が燃えてしまいます。ですから手を抜けないのです。

 伊豆半島内にはこのような場所が多々あります。それで、どこでも夜警が習慣化されたのでしょう。車で回れるところは比較的楽ですが、それでも徹夜ですから担当した翌日は仕事にならないでしょう。体力のある若い人が減っているので維持するのが大変です。地域によっては「不要」の声も聞かれます。しかし「廃止」の決定をするのも勇気のいること、まだしばらくは真冬の到来を告げる鐘の音はなり続けることでしょう。            06.12.30記

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